ビデオゲームとイリンクスのほとり

ブログになる前の軽い話は以下で話してます。■Discord : https://discord.gg/82T3DXpTZK 『ビデオゲームで語る』 ■映画の感想は『映画と映像とテキストと』というブログに書いてます。https://turque-moviereview.hatenablog.com/ ■Twitter ID: @turqu_boardgame

映画などの感想についてはこちら『映画と映像とテキストと』で書いています。

 

 

ゲーム

『ゴーストトリック』が13年経ってもプレイすべき傑作なのはなぜか?【ネタバレ無し】

『ゴーストトリック』のリマスター作品が2023年6月30日に、Nintendo Switch/PS4/XBOX/Steamでリリースされる。元々は2010年にニンテンドーDSソフトとして発売された作品だ。私が今までプレイしたアドベンチャーゲーム*1の中で、最高と思う一本だ。 【ゴース…

クリアしなくても良いと思った瞬間に傑作となり、そろそろクリアしようかと思った頃に普通のゲームになる

2023年5月に発売された『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』をまだプレイしている。70時間以上プレイしているが、まだ3つ目の神殿をクリアしたところで、世界をフラフラしている。 このゲームを始めて最初の5時間ほどで、虜になってしまった。…

『ザ・スーパーマリオBros. ムービー』に涙した人は、歴史的傑作『スーパーマリオ オデッセイ』をプレイしよう

2023年4月。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開された。ネットの感想を見ていると時折「泣いてしまった」「涙が出てきた」という感想を見る。分かる。別に全然泣けるような映画ではないんだけど、そうなる。それは主に「ノスタルジー」という…

「まじめな遊び、ふざけた遊び」(雑誌『広告』Vol.417所収)を読んだ感想

ゲーム研究者である松永伸司さんが、雑誌『広告』(Vol.417, 2023)に「まじめな遊び、ふざけた遊び」と題した論考を書かれている。とても面白かったし、毎回こういう話を読んで、自分の興味のある分野であるビデオゲームに引き付けて考えたりしてしまう。そ…

傑作『チェインド・エコーズ(Chained Echoes)』は単なる王道RPGではない

2022年12月にリリースされた『チェインドエコーズ(Chained Echoes)』。Steam/PS4/Switch/Xbox GamePassで遊ぶことができる2DのRPG作品だ。(日本語対応済み*1)。 スーファミからPS1時代の日本のRPGを彷彿とさせるビジュアル。その端正なイメージとは裏腹…

『ベヨネッタ3』があまりに残念な作品だった

2022年10月に『ベヨネッタ3』が任天堂からリリースされた。ベヨネッタシリーズは大好きなアクションゲームだったが、最新作の『3』は信じられないほど夢中になれない作品だった。しかし、楽しんでいる人も多い。ネットでの評判を見るに、本作のストーリーに…

『クルセーダーキングス3』は、PS5(コンソール)でも楽しめるのか?

【2022/11/30 追記】コンソール版のアップデートについては、記事の最後に記載していきます。 2022年9月にPlaystaion5, Xbox Series X/Sで『クルセーダーキングス3 Crusader Kings III(以下CK3)』がリリースされた。PCゲームパスに加入しているのでPCなら…

傑作『ゴーストワイヤー トーキョー』なぜ単調で大きな盛り上がりもないのに、これだけ面白いのか?

2022年3月にPS5やPCでリリースされた『ゴーストワイヤー トーキョー(Ghostwire: Tokyo)』。本作はやや迷うところがあるものの、傑作と言ってしまいたくなるゲームである。家庭用ゲーム機としてはPlayStation5のみでの発売となったため、あまり話題にもなら…

『ゼノブレイド3』は能力主義(メリトクラシー)社会での分断にどんな答えを出したのか?

2022年7月にNintendo Switchで発売された『ゼノブレイド3』。シリーズ三作目であり、海外での評判も悪くない。メタクリティックスでは89点という意外な高得点をマークしている(2022年8月15日現在)。 Xenoblade Chronicles 3 for Switch Reviews - Metacrit…

『Before We Leave』破産のない都市開発ゲームはどうやってモチベを維持させるか?

2020年にPCでリリースされた『Before we leave(ビフォア ウィーリーブ)』。昨年から、今年にかけてコンソール版も配信されるようになった。そして2022年8月には、海外でSwitch版が発売されるようだ。私はPS5の日本語版をプレイしている。(補記2022/08/02 …

『レトロチカ』は凄いゲームかもしれない(ネタバレなし)

2022年5月に発売された『春ゆきてレトロチカ』。プレイ開始当初は正直「これはキツいかもしれない」と思った。明確に悪い意味で。しかし、第1章が終わり、その後、数十分の展開を経たところで、印象はガラリと変わった。ここでは、終章までクリアして感じた…

『Switch スポーツ』は既存のオンライン対戦ゲームの脱落者にこそ響く

2022年4月に発売された『Nintendo Switch Sports(以下、Switch スポーツ)』をゴールデンウィークに家族で楽しんだ。 『Wiiスポーツ』の不思議な魅力 『Switch スポーツ』は、かつて『Wiiスポーツ(Wii Sports)』(2006)を夢中で遊んだことを思い出す楽し…

『昭和米国物語』の「面白そう!」は何が面白そうなのか?

2022年1月7日にゲームメディアが報じた『昭和米国物語』というゲームのリリースは、瞬く間にネットでも大きな話題となった。すぐに過去の話題になりそうなバズり方ではあったが、私自身もこのゲームのPVを見て「絶対買っちゃいそう……」と思った(単純)。で…

話題のジグソーパズル『The Sunny City』が良かった(感想)ネタバレなし

YouTubeなどで話題になったジグソーパズル『The Sunny City』。今回、最後まで遊んでみたので、その簡単な感想を書いてみたい。しかしネタバレはできる限りしたくない。普段、映画でもビデオゲームでも、ネタバレに対して私自身は結構ユルい。ゲームのレビュ…

名作『テイルズ・オブ・アライズ』は、「もう一度、厨二で良いんだ」と思わせてくれる作品

2021年9月。テイルズシリーズ25周年記念作品として、『テイルズ・オブ・アライズ』がリリースされた。海外レビューの点数の高さ(メタスコア87)に驚いた人も多いと思うが、クリアまでプレイしてみて非常にその評判の良さについても納得した。 本作はバトル…

名作『In Other Waters』知性がもたらす生き物への賛歌

2020年11月にニンテンドー スイッチでもリリースされた『In Other Waters(イン・アザー・ウォーターズ)』。開発はJump Over the Ageという開発スタジオだが、メンバーはロンドンに住むGareth Damian Martinという1人だけの開発者のスタジオのようだ。販売…

『It takes two』は「大切な人とプレイして欲しい1本」とかいう最大級のクソコメントがしたくなる傑作

『It takes two』は、2021年最高の1本になりうる作品だ。1人では遊べない。もちろんコントローラー2個を器用に1人で扱うことができれば、プレイ可能かもしれないが、そんな虚しさ200%の遊びをする人は少ないだろう。 このゲーム、とにかくよくできている。ま…

『リターナル』における”836”の謎とストーリー考察の限界について

2021年4月に発売された『リターナル(Returnal)』。PS5専用ソフトであるため、そこまで本数が出ているわけではないだろうが、概ね高評価を獲得している新規IPタイトルだ。30時間ほどでクリアしたが、とても面白いタイトルだった。私はこれまでローグライク…

傑作『HAVEN(ヘイブン)』が描いた愛は何が特別だったのか?

イチャラブRPGとして話題になった『HAVEN』。2人の主人公のあまりのイチャイチャぶりに精神的なダメージを喰らった人も多いと思う。とにかく最初から最後までこのカップルはイチャイチャし続ける。しかしこのどうしようもなくバカっぽい物語はとても素晴らし…

『ゲームと現実の区別が曖昧になる』論が見逃してしまいがちなこと

ビデオゲームに関わる技術が高度に発達したことで、「ゲームと現実の区別がつかない」という話が度々されることがある。こうした話がされる時というのは、主に以下の3種類の観点で語られることが多いように思う。 グラフィックスや音響など、感覚に訴える表…

『Untitled Goose Game』におけるベルは何を意味しているのか?

2019年にリリースされたガチョウが主人公のゲーム『Untitled Goose Game〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は、かなり独特の雰囲気をまとっている。 日本語タイトルの副題にある通り、ガチョウが色んなイタズラをして、街の人たちを困らせる、というコン…

スマブラの「新ファイター参戦ムービーへの海外の反応」はなぜ泣けるのか?

なんか泣けないですか?そうでもないですか。すみません。いや、もちろん泣けない人もいると思いますが、ついつい泣いちゃうって人も多いと思うんですよね。 スマブラに新ファイターが登場する。これだけで一つニュースになる。そして、思いもよらぬ、いやど…

『スノーランナー』が示唆する「男らしさ」表現の未来

2020年9月に日本語版がPS4で発売された『スノーランナー(SnowRunner)』。どういうゲームか一言で表現するならば「荷物を運ぶトラックシミュレーター」だ。荷物を運ぶために走る道路は、日常で見るような舗装された道路とは限らない。獣道のようなわずかに…

『あつまれ どうぶつの森』は泣きゲーである

歳を取ると涙腺が緩みやすくなるというのは、やはりあって、別に全然泣けるような状況でもないのに、無性に泣けてしまうということがある。 少年時代をゲームで過ごし、ゲームと共に育ってきた僕たちの世代は、ゲームの軽薄さというものを世間からの視線によ…

傑作『ラストオブアス2』のポリコレ表現とエリーの最後の決断について

2020年。前作から7年ぶりにリリースされた『ラストオブアス パート2(The Last of Us Part 2)』は、間違いなく傑作だった。まさかこれほどの傑作が生まれるとは、前作のあまりに素晴らしいラストシーンからは想像ができなかった。これ以上は蛇足にしかなら…

『十三機兵防衛圏』必然性の物足りなさとその革新性

2019年。ヴァニラウェア制作。主人公が13人もいるアドベンチャーゲームと聞いては、その手の群像劇的なゲームが大好きな自分としてはプレイしないわけにはいかなかった。クリアして、アーカイブを読み倒す楽しさを十分に堪能したので、元は取ったなと思う。…

『ゼルダ無双』と『FE無双』の敵の湧き方が気に入らない

『ゼルダ無双』も『FE無双(ファイアーエムブレム 無双)』も、どちらの作品も、それなりに良くできているとは思う。しかし両作品ともに、敵の湧き方がとても気に入らない。同じような感想を持つ人もいるだろうと思うので、書き記しておきたい。 昔の真・三…

手堅いが驚きの少ない『ルイージマンション3』

2019年リリース。『ルイージマンション3』は確実に面白いゲームではあるが、新奇性という点ではどこか物足りなさを感じさせる作品だった。 このゲームを遊んでいると『ASTRO BOT』のことを考えてしまう。PSVRという新鮮な環境で、古典的なプラットフォームア…

スマホゲーム『フローレンス』の逆説的な表現方法の素晴らしさについて

2018年にスマホでリリースされた『フローレンス(Florence)』。本当に素晴らしいゲームで、多くの人が絶賛するように将来にわたって何年も参照される傑作だろう。 日常生活の何気ない動作をささやかなインタラクション*1で表現したところに本作の特徴がある…

『アストラルチェイン』ゲームとして「純粋」じゃないところが好きという感覚について

2019年。ニンテンドースイッチで発売された『アストラルチェイン』。素晴らしいアクションゲームだった。「拮抗」難易度で一通りクリアしたが、そこまで難しくなかったため、多少のガチャプレイでも進めることができて非常に気持ちよく遊べた。発売前は『ニ…