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『クルセーダーキングス3』は、PS5(コンソール)でも楽しめるのか?

【2022/11/30 追記】コンソール版のアップデートについては、記事の最後に記載していきます。

2022年9月にPlaystaion5, Xbox Series X/Sで『クルセーダーキングス3 Crusader Kings III(以下CK3)』がリリースされた。PCゲームパスに加入しているのでPCなら無料で遊べるのだが、我が家のPC環境は今ひとつプレイ環境が良くない。がっつりコンソール機で遊んでみたいと思っていたところにこうしてコンソール版がリリースされたので、思い切って購入してしまった。いや、これがめちゃくちゃ面白くてハマっている。今はまだ50時間程度のプレイだが、これはすごいゲームだと感動している。(記事執筆当時のプレイ時間、今は90時間ほどプレイしている)

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コンソール版(PS5)でも私自身は楽しめているとはいえ、PC環境で快適にプレイできるなら絶対にPC版の方が良い。しかし、PC版の場合、日本語化するにはModの導入が必要で、Modを入れることで実績解除ができなくなるケースがあるようだ。何も考えず、日本語でプレイできて実績(トロフィー)解除もできるのは、コンソール版の良さかもしれない。とはいえ、少なくとも現時点のコンソール版『CK3』には、多くのUI上の欠点がある。本記事の最後には、PS5の操作で分かりにくい点についてまとめて書こうと思う。もちろん今後のアップデートで変わる可能性もあるが、海外ではすでに3月くらいにコンソール版が発売されており、いまだにUI上の問題は直っていないため、直る可能性は低いだろうと思っている。

本記事の目的は主に2つだ。

1つは、「興味はあるけど、CK3の何がそんなに難しいの?」と思われる方に、ゲームのシステムやメカニクスをなるべく知らなくても、その難しさの魅力を伝えることである。

もう1つは、PS5版(コンソール版)でのUIの問題点についてだ。ゲーム内容はもちろんPC版と変わらないが、細かなUI上の違いがある。私が悩んだ操作を中心に書きたい。

本作の魅力は「分かりにくさ」や「難しさ」と表裏一体である。この難しさに魅力を感じる人にとっては、『CK3』は途轍もなく面白いゲームになる。とはいえ、細かなシステムの話はあまりしない。システムをちゃんと知りたい方に向けては、初心者解説として有用な記事を後半に2つほど紹介するので、細かな話はそちらを参照してほしい。ただ、最後に書くコンソール版UIの問題はやや細かい話になるかもしれない。

何が「難しい」のか?

コーエーテクモゲームス(以下、コーエー)の『三国志』や『信長の野望』を初めて遊んだ時に、私は難しくて分からないと思った。もちろん次第に分かるようになってくると楽しいのだが、最初は「なんてとっつきにくいんだ」と不満を持ったものだ。直近では『三国志13』、『信長の野望 創造』を遊んだだけなので、最新作については分からないが、どちらも「何をすると得になり、何をすると損なのかが分からない」とプレイ当初は感じた。

『クルセーダーキングス3』も同様である。チュートリアルが終わって、じゃあ本格的にゲームを始めてみても、あまりにも途方もない感じがする。分からなさのレベルがコーエーのゲームより遥かに高い。分からなさの要因は主にゲームに組み込まれた要素数の多さから来ている。その要素数コーエーの歴史シムに比べて、はるかに多いのが『クルセーダーキングス3』だろう。

個人的に『クルセーダーキングス3』のチュートリアルはよくできていると思っている。短いし(2時間くらい)、ちゃんと必ず知っておくべき基本だけを教えてくれている。チュートリアルぐらいやらないでは話にならないので必須科目ではあるだろう。それに加えて、初心者にはR3ボタン押し込みによる「現在の状況ウィジェット」がある。これが「アラート」と「提案」のタブに分かれており、何ができるのか?何をすべきかのガイドになっている。この中で示されたアクションの中からやりたいことを選べば、少なくとも何かをすることはできるだろう。そこまでビビらなくても、ちゃんと遊べるようになっているゲームでもある。

それでも難しさは感じる。では一体本作の何がそんなに難しいのか。要素数が多く覚えることが多いという要因以外に、私は主に以下の3つだろうと考えている。

  • 地名に馴染みがない
  • 直感に反する要素
  • 初心者解説が難しい

それぞれについて書いてみたい。なおコンソール版UIの問題は、最後に別項として書きたい。

【難しさ1】地名に馴染みがない

中世ヨーロッパの地名に馴染みがないため、例えば「ブルノ伯爵領のコンラートとうちの娘を婚約させられるんだな」と分かったとしても、それがどういう意味を持つのかイメージしにくい。相手の名前や地位が分かっても、どこにいる人間なのかが分からないと、かなりストレスになる。婚約や結婚が、同盟や後継者作りに有用だというのは誰でも分かるだろし、その相手の兵力や地位の高さなども見れば分かる。しかし相手が「どこにいるのか?」という場所についての情報が直感的に分からないと、どうしても次の行動につながる決め手を欠いてしまう。島津と言われて「ああ、九州の方ね」とか、今川と言われて「静岡のあたりにいるな」とパッと分かることがどれだけストレスなく、その世界に入り込める助けになっていたかを痛感する。だから地図を眺めて地名を覚えることで、本作はとても遊びやすくなる。キャラを選択して□ボタンから「移動」を選べば、その人物がどこにいるかは分かる。そうした労を惜しまず、時間を止めて、今後侵略していきたい、もしくは、同盟したい国王や公爵がどの地名のどの辺りにいるかを学ぶことは、本作を楽しむのに必要な過程だろう(ただ敵国の家来まで細かく知る必要はない)。また、それを楽しめる人にこそ本作は向いていると思う。

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PS5版では、情報ウィンドウがいっぱい出てしまって地図が見れないことがよくあると思うが、R2+L2を同時押しすれば、ウィンドウを隠して地図だけを画面に出すことができる。この操作は重宝することが多い。

【難しさ2】直感に反するメカニクス

歴史シミュレーションゲームで困るのは、直感とメカニクスが合致しないケースをどう学ぶか?という点にある。例えば私はコーエーのゲームをしていた時に、ある城主を田舎に配置換えしていいのか、とても迷った。田舎になど異動したら、その相手の忠誠(好感度)がめちゃくちゃ下がるのではないか?と心配したのだ。しかし作品によるかもしれないが、そういったことはあまり気にする必要がないと後になって分かった。歴史戦略ゲームでは、こういう「これって直感的にはダメなんだけど、システム的にはダメであることをシミュレートしてるのだろうか」と思うことが多々ある。例えば、本作『CK3』では敵との戦闘に勝利すると、相手は逃げる。それを追いかけて、仮に第三国などに自分の軍勢をその国に侵入させてしまって良いのかを、最初はとても迷い、追撃を諦めてしまっていた。しかし『クルセーダーキングス3』では軍隊の国境の通行権のようなものはシステムに組み込まれていない。本当はそのまま追撃して、国境(第三国だろうと停戦中の相手国だろうと)を越えても何もペナルティはなかったわけだ。そういう直感や思い込みに反する仕様をどのように学ぶのかは意外に難しい。検索して調べてもなかなか知りたい情報にピンポイントでアクセスできないからだ。

ただ、これだけは知っておいた方がいい称号と土地の支配関係について2点だけ、ここには書いておきたい。これは、ある動画を見ていて私も知ったのだが、初心者解説としてあまり強調されていることが少なく、直感的にも分かりにくい点である。

本作は①帝国→②王国→③公爵→④伯爵→⑤男爵という5階層の支配構造になっている。違う文化(例えば西洋以外のイスラムとかインド)だと階層の名前は変わることもあるが、この5階層の構造は維持されている。なお、⑤男爵としてはプレイできない。このあたりまでは誰でも分かると思う。

1点目は、自分が所属している国(帝国、国、公爵)の配下の同輩封臣に戦争を仕掛けても、別に君主から怒られないという点だ。例えば、神聖ローマ帝国に所属しているある国の国王が、神聖ローマ帝国に所属している他の国に侵略戦争を仕掛けても、神聖ローマ帝国の皇帝(自分の君主)からは何もお咎めはない。上位レベルの称号を持つ人間は、下位レベルの争いに文句を言わないのだ。

2点目に重要なのは、③公爵以上の称号は実質的な土地の支配を保証しないという点だ。つまりオーストリア公爵の称号を持っていても、オーストリア公爵領の領土を保持しているとは限らないし、保証もしない。しかし④伯爵の称号は違う。フラデツ伯爵の称号を持っていたら、それはフラデツ伯爵領の領土を直轄領として支配していることを示す。そのため、戦争で③公爵の称号を奪っても、④伯爵以下の支配構造は変わらず、公爵領の領土を直轄領として保持していなかったりする。③公爵の称号を奪っても、公爵領以下の伯爵領は、戦争前の伯爵たちが変わらず支配しているのは、そういうことである。上司である③公爵の称号を奪っただけであり、その下にある土地を直接支配する権利を得たわけではない。この辺りが直感と反する要素として学ぶのが難しいところだと感じた*1

また、細かい点だが、本作の魅力として「戦争の開戦事由」を作り出すという過程がある。相手を侵略するのに理由が必要なのだが、それは「請求権の捏造」というやや不道徳に聞こえるアクションで実行される。しかしこのやり方が本ゲームにおける「王道」のやり方であり、なんら問題ないアクションである。モラル重視のキャラクターであっても、捏造をしたからと言ってそこまでペナルティがあるわけではないので(金は掛かるが)、遠慮なく「捏造」しよう*2チュートリアルでも「捏造」させるのは、それがこのゲームの基本的なやり方だからだ。

【難しさ3】初心者解説の難しさ

『クルセーダーキングス3』は分かるようになってくると、途端にこのゲームの宣教師になりたくなってしまうゲームだ。みんなにもぜひプレイしてほしいと思ってしまう。本記事もまさに、そんな気持ちに突き動かされて書いている。しかし、多くの初心者解説は、動画であっても、テキスト記事であっても、一度プレイをしてみないと理解しづらい。いきなり記事を読み込んだり、動画を長時間見続けるのはかなり辛いので、ぜひ3時間ぐらいは実際にプレイをしてみてから、その後で、初心者解説を使って学んだ方良いだろう。なお、私が参考になったのは、以下の記事や動画である。

steam「Crusader Kings III」超初心者向け攻略講座 : まつもとたかひと

まずはおすすめしたいのが上記の記事だ。この記事は「全然分からんぞ!」という気持ちを肯定してくれるとても共感度の高い記事だ。しかも「分からなくても全然いいんだ」と勇気をもらえる記事でもある。同じ人のプレイ日記も参考になるので、時間があったらそちらを読むこともオススメしたい。

そして次におすすめしたいのが次の動画シリーズだ。

モナーのCrusader Kings 3プレイ動画リスト - YouTube

会話が速いスピードで進むので理解が難しいところもあるかもしれないが、プレイ感を掴むのにとてもよい動画シリーズだ。実はある程度分かってきた後から見ても、改めて参考になる情報が多い。

なお、コンソール版でがっつり解説している記事はあまりなく、日本語で有用な記事は見つけられていない。

PS5版(コンソール版)でできないこと

改めて、PS5版とPC版とでは、どちらが良いかと問われたら確実にPC版である。しかしどうしてもコンソール版でやりたい人もいると思う。私は少なくともPS5で90時間以上は楽しんでいる。まだまだ全然遊べる。だから、決してPS5版でも遊べないわけではない。また、コンソール版も慣れると「これはこれで頑張ってコンソールでも遊べるように作られているな」と感じる。

以下には、PS5版の操作で悩んだ点について書いておこうと思う。(なお、2022/10/28時点の情報であり、今後のアップデートで変わる可能性はある)

評議員の罷免(入替はできる)

PC版だと、評議員を罷免して空席にすることができるが、PS5(コンソール版)では交代(入替)しかできない。これ自体は特に困ることはないのだが、フックを使って強引に評議員に就任された場合、いつまでその人物を解任できないのかが分からない。PC版だと、罷免ボタンのツールチップで見ることで、それを確認できるようなのだが、PS5版だと確認できない。そのため最初にこの「強引な就任」をされた時はバグか何かではないかと思ってしまった。

・現在の同盟状況の確認

各人物のキャラクター画面の中段ほどにある

称号 : ◯  請求権 : ◯ 同盟 : ◯

(◯には数字が入る)

という表示があるが、これはコンソール版では全く情報が得られない。ここを何度もツールチップでクリックしても欲しい情報は得られない。特に序盤から同盟状況は見たいだろうが、ここからはあまり見られない。

また、L2長押しからのキャラクターごとの円形メニュー(ラジアルメニュー)に「戦争と平和」というセクションがある。しかしここを見ても、君主の同盟などが見れるものの、肝心の自分の同盟が見れなかったりする。自分の同盟状況は画面上部の「軍事タブ」から見ると良い

隣国など自分以外の同盟状況は、L2長押しのラジアルメニューから戦争と平和」を×ボタンで選択しないで、ツールチップの表示をすることで、同盟先の一覧が参照できる。名前しか出ないので、不便だが、一応確認することはできる。

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・会戦結果の詳細の確認

R3から押し込みで「現在の状況ウィジェット」を開く。(包囲戦ではなく)会戦が終わった後は、その結果が「アラートタブ」に出ている。それを選択し、詳細ボタンを押すと「その会戦でどの騎士がどれだけの敵を殺したか?」などの細かな戦果の確認ができる。

・宮廷メンバーの請求権の確認

調べたい対象メンバーを選択した上で、L2長押しのラジアルメニューから、「称号」のセクションを開く。左側に「請求権タブ」があるので、そこから確認ができる。

ただ、家来(封臣や宮廷メンバー)の請求権を利用して宣戦布告がしたい時には1人1人確認する必要があるので、大変に面倒くさい。

他国への侵略計画を練る時は、R3押し込みによる「現在の状況ウィジェット」の「提案タブ」から、「宣戦布告ができます」という情報を参照して、考えるのが基本だろうと思う。

・兵士をカスタマイズして招集する

PS5版では、集結地を分ける以外で、自分の兵力を分散したりできず、「全兵力を集める」ことしかできないと思いがちだ。しかし、例えば弓兵だけを集めた軍隊を編成するとか、全兵力5000人いるうちの2000人だけの軍隊を編成するなどの、軍勢のカスタマイズはPS5版でも可能である。

全兵力を集結したのち、その軍勢を選択して、□ボタンを押す。下の方に「採用された兵士と特別な兵士の分離」というボタンがあるので、そこから軍隊のカスタマイズが可能である*3

また全軍を集結すると、軍費も嵩んでしまう。例えば5000のうち3000まで招集して、これ以上は召集したくないような時は、軍勢を選択して□ボタンで「招集の中止」を選べば、現状で集まっている数で(全軍を集めることなく)軍勢を形成できる。

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・自分が持ってる称号の確認

本作は「称号の奪い合い」のゲームでもあるので、自分が持っているすべての称号を一覧で確認できるべきであると思う。しかしキャラクターのラジアルメニュー(L2長押し)の中の「称号」からも上手くそれらの一覧が見れない(最上位の称号しか見れない)。

困った挙句、次のような方法であれば一覧で確認できると分かった。

家来(封臣など)を選んで、アクション(□ボタン)から「称号の授与」を選ぶことで、現在自分が持っているすべての称号の一覧が確認できた。こんな変則的な見方しかできないのか?とは思うが、PS5版(コンソール版)では、他にやり方が分からなかった。

DLC『ノーザンロード(Northern Loads)』配信開始!(2022.11.29)

ほとんど期待していなかったが、11月29日に拡張DLC『ノーザンロード(Northern Loads)』、その日本語版がコンソール版(PS5)にも配信された。海外では約1ヶ月前に配信開始されていたものだが、日本語版で配信されるのかどうか不安に思っていた。なので無事に発売されて嬉しい。なお定価は770円。またPC版で発売済みのDLC『ロイヤルコート(Royal Court)』を含めたエクスパンションパスも定価3960円で発売開始された。このことからコンソールの日本語版でも次のDLCを(少なくとも)予定はしていることが分かり希望が持てる。

また、『ノーザンロード』を購入しなくても、11/29に本編に無料アップデートが配信されている。少しだけ確認したところ、ルーラーデザインという、ゲーム開始時にプレイヤーキャラクター(容姿や信仰など)を細かく設定できる機能が追加されている。

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また軍勢の招集について細かな設定をできるボタンなどが追加された。

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なお、細かい話だが、アップデートしても以前のバージョンのセーブデータを呼び出してプレイすることはできる。しかし、なぜか以前のバージョンでのセーブデータには上書きができないようになっていた。他にも色々細かな差異はあるのだろうが、とりあえず気づいた点についてここに記しておきたい。

 

*1:しかし、戦争を仕掛ける際に、公爵という称号ではなく、公爵領という領土を請求するような戦争の仕掛け方もできる。その場合は領土が手に入る。何を「目標」としているかの確認と意識が重要である。

*2:「請求権の捏造」による主なペナルティは、捏造された相手の伯爵からの評価の低下ぐらいだろう。

*3:「採用された兵士と特別な兵士の分離」が1つの軍勢から2つの軍勢を編成し直す機能なのに対して、「リオーガナイズ」は2つの軍勢から、別の2つの軍勢へと編成し直す機能だ。そして「軍勢の統合」は単純に2つの軍勢を1つの軍勢に統合する。