ビデオゲームとイリンクスのほとり

ブログになる前の軽い話は以下で話してます。■Discord : https://discord.gg/82T3DXpTZK 『ビデオゲームで語る』 ■映画の感想は『映画と映像とテキストと』というブログに書いてます。https://turque-moviereview.hatenablog.com/ ■Twitter ID: @turqu_boardgame

映画などの感想についてはこちら『映画と映像とテキストと』で書いています。

 

 

『FF16』の後半の物語はつまらないのか?ミュトスとロゴスについて

週末批評に寄稿した以下の記事とは別にストーリーの内容についての記事になります。 加速する “JRPG” の到達点──『ファイナルファンタジー16』がそれでもムービーにこだわる理由|すみ | 週末批評 「『FF16』の前半は面白かったんだけど、後半になってつまら…

『バルダーズゲート3』と生魚を食べられないヨーロッパのおじさん

今年、アメリカのThe Game Awards(TGA)というビデオゲーム 界で最も有名な賞イベントにおいて、Game of the Year(最優秀作品賞)を獲得したのは『バルダーズゲート3』だった。既に『バルダーズゲート3』はその前哨戦とも言えるイギリスのGolden Joystick …

「このハードが好きだから、この独占ゲームは面白く感じる」と言うことはダメなのか?

特定の家庭用ゲーム機(ゲームハード)に強い思い入れを持つ人がいる。しかし、ゲームファンの多くは「特定のゲームハードだけに強い思い入れを持つことは、少し恥ずかしいことだ」とも思っている。これは、強い思い入れを持たない外野の人がそう思うだけで…

『FF16』が傑作であるのは自らの過去を肯定しつつ変革させた点にある

週末批評に本記事の改稿した記事を掲載いただいています。ぜひそちらをご覧ください。 加速する “JRPG” の到達点──『ファイナルファンタジー16』がそれでもムービーにこだわる理由|すみ | 週末批評 以下、元記事です。 2023年6月に『ファイナルファンタジー…

『ゴーストトリック』が13年経ってもプレイすべき傑作なのはなぜか?【ネタバレ無し】

『ゴーストトリック』のリマスター作品が2023年6月30日に、Nintendo Switch/PS4/XBOX/Steamでリリースされる。元々は2010年にニンテンドーDSソフトとして発売された作品だ。私が今までプレイしたアドベンチャーゲーム*1の中で、最高と思う一本だ。 【ゴース…

クリアしなくても良いと思った瞬間に傑作となり、そろそろクリアしようかと思った頃に普通のゲームになる

2023年5月に発売された『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』をまだプレイしている。70時間以上プレイしているが、まだ3つ目の神殿をクリアしたところで、世界をフラフラしている。 このゲームを始めて最初の5時間ほどで、虜になってしまった。…

『ザ・スーパーマリオBros. ムービー』に涙した人は、歴史的傑作『スーパーマリオ オデッセイ』をプレイしよう

2023年4月。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開された。ネットの感想を見ていると時折「泣いてしまった」「涙が出てきた」という感想を見る。分かる。別に全然泣けるような映画ではないんだけど、そうなる。それは主に「ノスタルジー」という…

「まじめな遊び、ふざけた遊び」(雑誌『広告』Vol.417所収)を読んだ感想

ゲーム研究者である松永伸司さんが、雑誌『広告』(Vol.417, 2023)に「まじめな遊び、ふざけた遊び」と題した論考を書かれている。とても面白かったし、毎回こういう話を読んで、自分の興味のある分野であるビデオゲームに引き付けて考えたりしてしまう。そ…

傑作『チェインド・エコーズ(Chained Echoes)』は単なる王道RPGではない

2022年12月にリリースされた『チェインドエコーズ(Chained Echoes)』。Steam/PS4/Switch/Xbox GamePassで遊ぶことができる2DのRPG作品だ。(日本語対応済み*1)。 スーファミからPS1時代の日本のRPGを彷彿とさせるビジュアル。その端正なイメージとは裏腹…

クセつよ傑作『キングダムカム』の実はあまり「クセのない」魅力

2018年に『キングダムカム・デリバランス(Kingdom Come: Deliverance)』という作品がPCでリリースされた。家庭用機版(PS4/XboxOne)も翌年の2019年に出ているので、今更話題にするにはリリースから随分と時間が経ってしまった作品でもある。2022年末のセ…

『ベヨネッタ3』があまりに残念な作品だった

2022年10月に『ベヨネッタ3』が任天堂からリリースされた。ベヨネッタシリーズは大好きなアクションゲームだったが、最新作の『3』は信じられないほど夢中になれない作品だった。しかし、楽しんでいる人も多い。ネットでの評判を見るに、本作のストーリーに…

『クルセーダーキングス3』は、PS5(コンソール)でも楽しめるのか?

【2022/11/30 追記】コンソール版のアップデートについては、記事の最後に記載していきます。 2022年9月にPlaystaion5, Xbox Series X/Sで『クルセーダーキングス3 Crusader Kings III(以下CK3)』がリリースされた。PCゲームパスに加入しているのでPCなら…

傑作『ゴーストワイヤー トーキョー』なぜ単調で大きな盛り上がりもないのに、これだけ面白いのか?

2022年3月にPS5やPCでリリースされた『ゴーストワイヤー トーキョー(Ghostwire: Tokyo)』。本作はやや迷うところがあるものの、傑作と言ってしまいたくなるゲームである。家庭用ゲーム機としてはPlayStation5のみでの発売となったため、あまり話題にもなら…

『ディスコエリジウム』に選ばれなかった私

2022年8月。『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』日本語版がリリースされた。海外でリリースされた時の情熱的とも言える絶賛レビューを数多く目にしていたため、この作品が日本語化されると聞いた時にはとても嬉しかった。実際、日本語版をプレイし…

『ゼノブレイド3』は能力主義(メリトクラシー)社会での分断にどんな答えを出したのか?

2022年7月にNintendo Switchで発売された『ゼノブレイド3』。シリーズ三作目であり、海外での評判も悪くない。メタクリティックスでは89点という意外な高得点をマークしている(2022年8月15日現在)。 Xenoblade Chronicles 3 for Switch Reviews - Metacrit…

『Before We Leave』破産のない都市開発ゲームはどうやってモチベを維持させるか?

2020年にPCでリリースされた『Before we leave(ビフォア ウィーリーブ)』。昨年から、今年にかけてコンソール版も配信されるようになった。そして2022年8月には、海外でSwitch版が発売されるようだ。私はPS5の日本語版をプレイしている。(補記2022/08/02 …

『AI : ソムニウムファイル』垣間見せる寒さへの自覚と自意識の哀しみ(ネタバレなし)

2019年にリリースされた『AI : ソムニウムファイル』。発売から随分時間も経ち、今更ながらクリアしたのだが、率直に感じたのは「キツイな」ということだった。このことはネットをはじめ、本作への評価で多く言われる「下ネタやギャグが寒い」こととも、もち…

死にゲー好きにはたまらない『ドルアーガの塔(アケアカ)』があまりに楽しすぎる

2022年6月。『アーケードアーカイブス ドルアーガの塔』がリリースされた(PS4/Switch)。小学生の頃、『ドルアーガの塔』はファミコンでプレイしていたが、そこまでハマったわけでなかった。せいぜい到達しても10階ぐらい。全部で60階まであることは知って…

傑作『DRAINUS』心のどこかで待っていた新時代シューティング

2022年5月にSTEAMでリリースされた『DRAINUS(ドレイナス)』。ノーマル2周目をクリアし、ハード2周目をプレイしている状態で、この感想記事を書いている。難易度や開発コンセプトなどを巡りネットでは少し話題になったが、そんな点も含め、感じたところを書…

『レトロチカ』は凄いゲームかもしれない(ネタバレなし)

2022年5月に発売された『春ゆきてレトロチカ』。プレイ開始当初は正直「これはキツいかもしれない」と思った。明確に悪い意味で。しかし、第1章が終わり、その後、数十分の展開を経たところで、印象はガラリと変わった。ここでは、終章までクリアして感じた…

『Switch スポーツ』は既存のオンライン対戦ゲームの脱落者にこそ響く

2022年4月に発売された『Nintendo Switch Sports(以下、Switch スポーツ)』をゴールデンウィークに家族で楽しんだ。 『Wiiスポーツ』の不思議な魅力 『Switch スポーツ』は、かつて『Wiiスポーツ(Wii Sports)』(2006)を夢中で遊んだことを思い出す楽し…

『ダークソウル』はゲームにおけるパターナリズムへの華麗なカウンターである

本稿に素晴らしい編集を施していただいた記事が、『週末批評』という批評サイトに載っています。ぜひそちらを読んでいただければと思います。 『ダークソウル』はなぜ「不親切」なのか?──パターナリズムにあらがう「私の物語」の復興 | 週末批評 週末批評 |…

【日記】戦争とエルデンリング

2022年2月24日(木)。レビューが解禁され、明日発売を迎える『エルデンリング』が歴史的な傑作と肩を並べる高得点を獲得している。そして、現実世界の世界的なニュースとして、ロシアが明確なウクライナへの侵攻を行ったことが報じられている。 この2つには…

『昭和米国物語』の「面白そう!」は何が面白そうなのか?

2022年1月7日にゲームメディアが報じた『昭和米国物語』というゲームのリリースは、瞬く間にネットでも大きな話題となった。すぐに過去の話題になりそうなバズり方ではあったが、私自身もこのゲームのPVを見て「絶対買っちゃいそう……」と思った(単純)。で…

ゲームにおける”コラボ”はなぜ「嫌な感じ」がするのか?

スマートフォンのゲームでもそうだが、コンソールで発売される売り切り型のゲームでも、他のゲームや直接関係ないアニメや商品とコラボをする、というキャンペーンは数多く展開されている。コラボ企画の中には、正直「なんだかなぁ」と興醒めするような気持…

話題のジグソーパズル『The Sunny City』が良かった(感想)ネタバレなし

YouTubeなどで話題になったジグソーパズル『The Sunny City』。今回、最後まで遊んでみたので、その簡単な感想を書いてみたい。しかしネタバレはできる限りしたくない。普段、映画でもビデオゲームでも、ネタバレに対して私自身は結構ユルい。ゲームのレビュ…

名作『テイルズ・オブ・アライズ』は、「もう一度、厨二で良いんだ」と思わせてくれる作品

2021年9月。テイルズシリーズ25周年記念作品として、『テイルズ・オブ・アライズ』がリリースされた。海外レビューの点数の高さ(メタスコア87)に驚いた人も多いと思うが、クリアまでプレイしてみて非常にその評判の良さについても納得した。 本作はバトル…

『eスポーツのナラデハを考える』を読んでの感想

ゲーム研究の松永伸司さんが以下の面白い論考を書かれていたので読み耽ってしまった。本当に面白い。 eスポーツのナラデハを考える この論考は"eスポーツが他のスポーツ競技や将棋などの競技と比較して、独特に持ちうる特徴ってなんだろう?"という話だ。す…

Xbox Game Passのゲームが、起動したりインストールできなくなった時に行ったこと【2023.9.17追記】

ある日、突然Game Pass(ゲーパス)for PCのゲームが起動しなくなった。「プレイ」のボタンを押してもMicrosoft Storeのページに遷移してしまう。Xboxアプリには、緑色の帯のメッセージが出て、そこにあるリンクを押して対処先のページに遷移すると、Windows…

名作『In Other Waters』知性がもたらす生き物への賛歌

2020年11月にニンテンドー スイッチでもリリースされた『In Other Waters(イン・アザー・ウォーターズ)』。開発はJump Over the Ageという開発スタジオだが、メンバーはロンドンに住むGareth Damian Martinという1人だけの開発者のスタジオのようだ。販売…